昨日に続いて信州・小布施にちなんだ投稿です。

 

小布施にある小さなミュージアム「高井鴻山記念館」

高井家は江戸時代、北信きっての豪農商で、今でいう大実業家であり慈善家

北斎を小布施に招き、経済的な支援者となり、鴻山もまた北斎を絵の師として仰いで尊敬し、

北斎はかなり年下の鴻山を「旦那様」呼ぶ、折り目ある交流が続いたと伝えられています。

 

「高井鴻山記念館通信」に掲載されていた記事が面白かったので紹介します。

鴻山が北斎を評して作った漢詩の現代語訳だそうです。

「卍じいさんは、我が家に半年ほど滞在した。ある日、さよならも言わずに立ち去った」

じいさんは、招いたわけではないがふらりと我が家に来た。

立ち去るときも、「お世話になりました」とも言わず立ち去った。

来る時も立ち去る時も、自分の気持ちに従って行動する。

引き留めても、旅立ちを延期するなんてしない。

自分の遊び心のままに80年以上生きてきたのだから。

ところで、このじいさん、自分の心の思うままに手を支配している。

人鬼が現れて、そこに鳥の羽や獣の毛が群がっているようなものだ。

画の技術は人間とは思えないほど群を抜いている。

富も名声も座っていて招き寄せている。

何度も旅に出ては、また江戸に舞い戻ってくる。

エネルギッシュで疲れることを知らない。

貧乏や富や名声には全く興味関心を示さない。

ただ、画を描いては「どうしたら神の手になれるのだろう」と悩んでいる。

君の気持ちは、寒くて辛い冬を平気で過ごす人間は、

夏の暑い盛りも同様に過ごせるということなのだろうか。

寒くても暑くても(富と名声を得ようが得まいが)世間に対しておべっかは使わない。

ただひたすら、彩色画を描くことに命をかけている。

君がどのくらい画に対する努力をしているかを推し量るなんてできない。

画の骨組を大事にする姿勢は、誰にもひけをとらない。

鎖の輪のように連なる骨組が、本物の画を描かせ、これまでの慣習を洗い流し、

見る人を心地よくさせる。

年を取り老いてゆくに従って筆力はますます強くなってゆく。

大きな衝立や壁に描いた画の気迫は、水が広く深く湛えられているような感じだ。

気迫はさらに、雲をつきぬけて空に舞ってゆくようだ。

空遠く舞うために、9万回をこえるほど翼を羽ばたかせることだって厭わない。

秋風は、色鮮やかな雲煙(北斎の画)をそのままにして吹き去った。

描いた画はいまだに乾かずにみずみずしく、染みこんだ色はいまだに色あせない。

  Filed under:アート,旅・観光

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